2014-07-28

ヤンバルのダム湖で魚さんと

7月の中旬は、連休を利用して山原(ヤンバル)に出かけてきました。

山原は、生き物の固有種も多く、「東洋のガラパゴス」とも称される自然豊かな場所だとか・・・。一度は訪れて見たい、という気持ちが前々からありました。

山原(やんばる)という響きには、いかにも人里の少ない山深い地域、というイメージがありますね。

写真の奥は、沖縄本島の最高峰、与那覇岳(標高503m)です。
でも正式には、数多くのリゾートホテルが立ち並び観光客も大勢訪れる恩名村から北が、「ヤンバル」と、一括りで呼ばれるエリアなのだそうです。


確かに海岸線から内陸部に目を向ければ、恩納村あたりから山らしい山(といっても何せ沖縄ですから、標高は大した事はありません。国頭村にある本島最高峰の与那覇岳でさえ、503m。高さ634mの東京スカイツリーより低いですねえ)が現れますから、かつては平地と丘陵の多い中南部と全く異なるエリア、という事で、恩納村から北を「山原(やんばる)」という呼称で一括していたのでしょう。

今では、本当のヤンバルと呼べるのは人の少ない国頭郡に入ってからなのでは、という気がします。
このエリアの山々は、標高は大したことはなくとも、亜熱帯の植物が鬱蒼と生い茂り簡単には人を寄せ付けない、一見して確かに深い山、です。ハブもいますしね。気軽に山遊びが出来るような雰囲気ではありません。ただ、そうは言っても、ひとやま超えれば海のあるのが沖縄。ここの豊かで貴重な自然を壊すことは実はとても簡単なことなのかもしれません。


ここでは、普通ではなかなか味わえそうにない体験を、心ゆくまで楽しみました。


カヌーのツアーは、このツアーでなければ入れないダムへ。
これだけでも貴重な体験、でも、それだけではなかった・・・。
ダム湖をカヌーで漕ぎ出し、支流を奥へと向かったのですが

上流でカヌーから降りて、川をさらに上流へと

渓流の奥には岩場がありました。
この岩場の白波の下にはオキナワアユの大群が・・・。
上流は夏でもかなり冷ややかです。
ウエットスーツに身をつつみ、カヌーに乗った理由がわかりました。
ガイドさんから手渡された水中メガネが大活躍 。
こちらには、石のようにハゼが岩にくっついています。このハゼさん達、なぜか人を全く怖れません。手や顔をそっと近づけても、その周りでじっとしたり、平然と泳いでいます。随分なつっこい様子で、可愛くなってしまいました。
気がつくと、周りには沢山の稚魚達が 
水から顔を出せば、リュウキュウハグロトンボさん。
こんなに楽しんだ、安波ダムですが、沖縄全土に水道水を供給している
貴重な水源でした。その上流で泳いでしまったのでした。
なんと、本島南部までここから水を供給しているとのこと。
一方、ガイドウォークツアーでは、亜熱帯の森の中で、図鑑に載っているような特色ある植物や生き物に沢山出会うことが出来ました。写真には撮れませんでしたが、貴重なヤンバルクイナやアカヒゲとも遭遇。

シリケンイモリさん達にも沢山会えました。 
オオハラビロトンボ 
オキナワキノボリトカゲもあちこちに…。
色が変わります。
スダジイとウラジロガシの森。
大木ではありませんが、切り立った谷で隔てられて、
外側から見る以上に深い森です。 
低い部分は人間の身長ほどもあるリュウビンタイ(シダ)に覆われています。
この他に、背の高いヒカゲヘゴが明るい森の端に見られます。 
ここは吊り橋ですが、
ガイドさんがいることと、整備された散策路があるので安心して歩けました。
この「やんばる学びの森」の「亜熱帯ジャングルカヌーと川遊び」と「ガイドウオークツアー」がセットになったツアーはとってもおススメです。「亜熱帯ジャングルカヌーと川遊び」は、少々恐縮ではありますが、このツアーでなければ入れないダム湖に入り(多分、一日何組まで、という上限を守ってツアー客を招いているのでしょう)、支流を遡り、川遊びができます。川で泳いだのは何年ぶりでしょうか?気が付けば童心に帰って、夢中でお魚さん達と戯れていました。

猛毒蛇、ハブのいる林、森、山として、怖くて近付き難い沖縄の自然や山々ですが、おかげ様で、この日はぐっと身近に感じられました。
おまけにツアーに行く途中、道を渡っているヤンバルクイナにも遭遇。後で伺うと、かなりラッキーな事だったらしく、少々感激でした。


一日で両方を楽しむのは少し体力が必要ですので、前日の午後に入って、カヌーツアーをして一泊、翌日の午前にガイドツアー、と二日間にわけるのが良いのかも・・・。

ともかくも、この「やんばる学びの森」では短い滞在中色々な事を教わり、とても貴重な体験を楽しめ、身も心もすっかりリフレッシュ・・・。深く感謝です。

このやんばるの川や森が、そこに住むヤンバルクイナをはじめ数多くの植物、生き物と共に、いつまでも変わることなく豊かな川や森であり続けますように、と心から願います。

そう考えると、ハブはやっぱり沖縄の自然の守り神でもあるのでしょうか・・・?


2014-07-23

台風被害−我が家の菜園

台風8号の影響は今でも残っています。

一番残念なのは、沖縄から花が消えてしまったこと。

本格的な夏を迎え、賑やかに色鮮やかに咲き誇っていた花々でした。でもその花達が、家庭の庭先、通りの端、道路や公園などから本当にすっかり消えてしまったのです。
被害を被って木や草そのものが全て枯れてしまったわけではなく、今は台風で傷んだ葉や茎を復活させている最中。花芽よりも、まずは葉や枝の再生にエネルギーを優先して注いでいる様です。

花壇だけでなく、防風対策をしなかった家庭菜園も著しい被害を受けています。野菜のための防風対策をきちっとやっているご家庭も中にはありますが、多くの家庭菜園はかなり傷んでいる様です。
オクラは元気で、次から次へと育っていたのですが・・・。
我が家でも、4本のオクラがダメージを受けました。

種を蒔いたらぐんぐん育って、花を楽しみながらも、毎日2本程の大きなオクラが収穫でき、美味しく頂いていたものでした。

ただ、オクラはそれでも台風にとても強いらしく、花芽や実を一時的に付けられなくなっただけで、株そのものはしっかり生き残り、復活に向けた準備をもう活発に開始しています。暫く待っていれば、また実をつけてくれそうです。

小茄子は多くの実を付けたまま、葉が8割方落下しました。花芽も全て枯れましたが、既に新たな葉が出始め徐々に復活しています。やがて花芽もつくかもしれません。

ダメージが大きいのはミニトマトで、葉がほぼ全滅しました。一本は、脇芽が出て成長を始めましたが、もう一本のミニトマトは未だ芽を出さず、復活の可能性は低いかも知れません。

ゴーヤは2本とも完全に葉が真っ黒になり、日に日に茎もしおれ、復活の兆しは全く見られません。不思議なのは、沖縄食材の代表のようなゴーヤが意外にも台風に弱いことです。

花ではラベンダーの被害が大きく、風の通り道にあった株は8割程の葉が黒くなってしまいました。やっと脇芽が出始め復活しそうですが、しばらく時間がかかりそうです。

塩害にも強く、元気なハイビスカスも今回は多大な被害を受けました。枝が何本か折れ、葉が6割以上落ちました。残っているのは小さな葉だけで、花芽は殆ど全滅です。しばらく花を楽しめなくなりますが、木そのものは元気そうです。折れた枝を挿し木にしてみましたが、数本は生き残っており、新たな株として成長しそうです。

今回の台風が強烈だっただけに、我が家の植物達への影響はこれまでにないほど大きなものでした。ほぼ丸一日、塩分を含んだ凄まじい強風にあおられた結果です。彼らを台風から守る対策も、もう少ししっかりしてあげなければ、と痛感です。
防風対策を施したご近所の畑の中にはさほどダメージを受けていない所もありますし、心配していたマンゴーも、被害は最小だったとのこと。良かったです。

ただ、あれほどの強風に晒されながら、かなりのビニールハウスが破れずに残っていることも、私にとっては逆の驚きです。台風銀座沖縄のビニールハウスには何か特殊な仕掛けがしてあるのでしょうか?

私達にとっては、初めて体験した大型の直撃台風です。我が家ではかなり身構えて臨みましたが、庭の草木を除けば、幸いにも家の被害は皆無。本当にホッとしました。でも今回のこの台風を通じて、このような自然災害に対応する沖縄の人々の知恵の数々、そして淡々と軽々とやり過ごす逞しさを改めて感じます。皆さん、「なんくるないさー」と、微笑み、落ち込んだりへこんだりしていません。さすがだなー、と思います。

2014-07-08

数十年に一度の台風?

台風8号は勢力を強めながら、北北西に進み、宮古島をかすめながら本島の西を北上するコースが予測されています。明日には910hPaに成長して猛烈な」台風に

目のクッキリした台風、とても大きなものであることが分ります。
夜になって、風雨が強くなりましたが、昼間は少し風が強いものの、いつもとあまり変わらない一日でした。でも実際には、数十年に一度の大型台風で、既に台風特別警報が発令されています。自治体からも、避難所の案内等が携帯電話に届いています。

台風8号は何も勢力を弱める障害がない中で、
太陽のエネルギーを蓄えながら成長しているようです。
夫は、夜9時近くに帰ってきて、「これから片付けるよ」と、植木やシーサーを家の中へ。(我が家のシーサーは置いてあるだけで、漆喰で固めていないので、風が吹くと動いたり倒れたりする可能性があるので。)おかげで、玄関はおおいに賑わっています。避難できた植物や置物は、みんなで寄り添って、なんだか楽しそうな雰囲気です。

夫の職場では明日の自宅待機指示が既に出ているとの事。明日から数日?沖縄社会では様々な機能が停止しそうです。

一番気になるのが農業への被害。沖縄のマンゴーは出荷が始まったばかりで、この台風で大きな被害が出そうです。落ちてしまったり、傷ついて商品価値が落ちてしまったり、その他にも、多くの野菜が被害を受けるのは確実で、その点はとても残念ですね。友人達や患者さん達にも農業を営んでらっしゃる方々が大勢いますので、皆さんとても心配しています。

我が家の小さな畑の作物も、大きなダメージを受けるのは必至です。ただ、昨年の沖縄での台風経験から、うちの家庭菜園ごときが受けるその被害位は、とにかく黙って受け入れるしかない、と覚悟はできています。昨年のように一喜一憂することはなくなりました。

自然の脅威にただあたふたするのではなく、この脅威であると同時に恵みでもあるものをしっかり受け止め、むしろ自然に生かされていることを前向きに感謝するいい機会でもあることを多少は学んだのでしょうか?・・・。自然の脅威やそれらによる被害も、長い目、大きな目で見れば自然の一部である私たちが受けるべき“恵み”の面も確かにあるのでしょうから。

気がつけば風音はピューピューと響き始め、いつのまにかその音は大きくなり、今やゴーゴーと恐ろしい唸り声をあげています。明日は丸一日(24時間)この暴風のなかで過ごさなくてはなりません。そして、多分翌日も翌々日も。この長さに慣れなければと思いつつも、不安を伴うこの台風の轟音に長くさらされていると、やはりつい不快感が募ってきます。でも、そこからが本当のこらえどころ。頭も使います。家族や友人とカラオケやゲーム、映画、面白い本に夢中になったり、動画三昧などして気を紛らわせ、この不快を楽しい時間に変えてしまう。沖縄の皆さんは、こうして巧みにこの苦難を乗り切る術を心得ています。今年は私達もしっかり見習うつもりです。

「ここまでの大型で強い台風は初めてでしょう。十分準備して過ごしてね」と地元や遠方の友人達もメールや電話で声をかけてくれます。皆さんの心遣いが身に染みますね・・・。

とにかく、大きな被害が出ないことを心から祈ります・・・。


台風情報コピー(tenki.jp)
 
実況日時7月7日22時現在中心気圧930hPa
大きさ大型中心位置北緯 22度30分
東経 126度40分
強さ非常に強い
存在地域宮古島の南南東約290km中心付近の
最大風速
50m/s
方向・速さ北に20km/h最大瞬間風速70m/s
15m/s以上の
強風域
南東に700km
北西に440km
25m/s以上の
暴風域
全域で200km

2014-07-06

パッションフルーツ

これは?

パッションフルーツを半分に切ったところです。今は旬なのでしょう。最近は地元の市でも結構良く見かけます。でも、こうして半分に割ると、一見、どこをどう食べるのか分りにくい果物ですよね。

このフルーツは種の周りを取り囲んでいる部分を種ごとを食べるのです。結構おおきな種が入っていますが、気にせず食べましょう。  ま、種は実際には丸ごと飲み込むことになりますが…。
カットしてスプーンで食べる。種も気にせず、口の中へ。
   この甘酸っぱい味は沖縄の暑い夏にとても良く合います。

カットした中身を初めて見た時、最初は私も、「えー、こんな中身なの?」と、見た目ちょっと気持ち悪く感じました。でも、勧められるまま口に入れると、広がる甘酸っぱさは驚くほど濃厚。食べ慣れると癖になります。

持ってみると重量はあまりありません。外見はつやのある赤紫色。おいしく食べるには、皮に張りのある状態より少し皺が寄るくらいまで置いた方が良い、とのこと。酸っぱさが減り甘味が増すのだそうです。でも、強い酸味を好まれる方にとっては、この写真のような状態の方が口に合うのかもしれません。

パッションフルーツって?

英語では passionfruit 「情熱の果物」 という事ですねえ。

果肉にはベータカロテンがたっぷり含まれ、これは体内でビタミンAに変換され、活性酸素を抑え動脈硬化や心筋梗塞の予防、粘膜や皮膚の細胞を正常に保つ、免疫力を高める効果などがあるそう。他にもビタミンB6やビタミンC、葉酸も豊富に含んでいる様です。

暑い夏、大汗をかき、ばてやすく日焼けもしやすいこの時期には、確かにもってこいの果物ですね。 私なら Summer Messiah 「夏の救世主」 と名付けたいところですが・・・。

*)
 実は後日このブログを読んだ英語に詳しい友人が、passionfruit の意味について、次のように教えてくれました。
このpassion の意味は実は「情熱」ではなく、「(キリストの)受難」なのだそうです。passionfruit はトケイソウ(passionflower)の果実であり、このトケイソウの花の形が十字架に架けられたイエスと悼む弟子たちを思わせる事から、果実にも同様 passion がつけられ passionfruit となったと。

私も passion に (キリストの)受難 という意味もあることは知ってはいたのですが、まさか「受難果物」のはずはなく、この強烈な酸味が「情熱」に重ねられ名付けられたもの、と勝手に思い込んでいたのでした。

いやー、とても奥深いですねえ…。友人に感謝です。

この由来を知って、私としては、この果物への愛着が更に増したように思います。



2014-07-03

角のあるシーサー

シーサー(=獅子、ライオン)は家々の守り神(魔除け)。ここ沖縄では至る所で見かけます。

いいえ実は、各家のみならず、ホテルや学校、会社、都会のビルや工場の入り口など、ほとんどの建物には必ずと言っていいほど置いてあります。門の上に居ることもあれば、屋根の上、出入口、そして建物内に居ることもあります。

神社の狛犬とも同じで、起源は古代オリエントのライオンだとか・・・。エジプトのスフィンクスともルーツは一緒と言えるようです。


少しとぼけていますが、なかなか年期の入った顔立ちでもありますね。
遠い昔の、そして異国のライオン信仰が、長い時を経て少しずつ形を変えアジアの各地域にも広がり、そして今なお、守り獣としての役割を担って私達の身近にいる、という事に、ちょっとしたロマンを感じてしまいますね。

沖縄で初めてシーサーを見た時には、やはり本土の狛犬とは少し感じが違うなあ、という印象を持ったのですが、つい最近、あらーっと驚く発見をしました。

私が今住んでいる八重瀬町には沖縄最古のシーサーといわれる「富盛の大獅子」というのがあるのですが、若い頃の両親が写る古い写真に、それとそっくりの大獅子が写っているのです。場所は確か関東のどこか…。沖縄ではありません。

沖縄ワールドには古今東西のシーサー(獅子、狛犬)の展示室があります。それを見ると、中国などの獅子像にも狛犬やシーサーによく似た外観のものもあり、必ずしも地域によってデザインの差が明確に現れる、というわけでもないことが分かりました。そして中には上下の写真のように、角のあるシーサーもいます。

ちょっと珍しい我が家の珊瑚シーサーの事は以前に紹介しましたが、実はそこに新たに加わったのが、この本土生まれの彼らです。

どこかで見たような感じが
そう、これもサイズはずっと小さいですが、どことなく、富盛のシーサーに似ている様にも・・・。

角のあるシーサーは沖縄では確かに珍しくはあるのですが、ただ、先の展示室では中国製の角のある獅子像も結構ありましたので、角付きシーサーも昔から作られていたものではあったようです。

ただ、このシーサー(狛犬?)、正直言うと、どこで作られたものか定かではありません。もう40年以上も本土で暮らしていたのは明らかなので、本土生まれなのは確かなのですが、一体いつ頃本土のどこで生まれたのかは、皆目見当つきません。

コケなども身にまとい、石の具合も大分風化して、相当年期の入った感じはするのですが・・・。


そして、このシーサー達、実は時々しゃべるんです。

沖縄に連れてこられ、

「おい、こんなところじゃ全然落ち着かんぞ!」、と

始めの頃はブツブツ文句を言っていたのですが、周りに仲間が沢山いると分かり、最近ではすっかり沖縄が気に入ったようで、私もホッとしています。