2013-07-06

沖縄伝統家屋には玄関がなかった

沖縄の伝統的な家には玄関がなかったらしい。

実は書き物を読んでそのことに気づきましたが、それまで、私は台所への入口が玄関だと思い込んでいました。廊下が玄関の役目を果たしていたのでしょう。そういえば、「やぎや(屋宜家)」さんにおそばを食べに行ったとき、廊下からお邪魔したのを思い出しました。

夫が生まれた家は関東の農家だったそうですが、玄関はあっても、冬以外はおばあちゃんが縁側でひなたぼっこ、訪ねてくる人は、玄関ではなく縁側で用事を済ませ、お茶を飲み、雑談をして帰っていたっとのこと。さすがに寒い時期だけは、玄関を入った土間に火鉢を据え、暖をとりながら土間に面した板の間で談話したとのことです。

この夫の話を聞き、沖縄なら縁側があれば玄関は不要ということに、なんとなく納得できました。

余談ですが夫は、「育った家と雰囲気が似ている」と、沖縄の伝統の家に懐かしさと親しみを持っているようです。それだけでなく、かまどや、機織機などの古い生活用具ですら、懐かしい、と・・・。昔から長く変わることのなかった田舎の生活を実体験しているので、私にとっては博物館にしかないそれらの生活用具を、幼い頃身近に見て用いて、暮らしていたようなのです。夫と私の歳は大して違わないのに、大きな時代のギャップのようなもの?を感じる瞬間です(笑)。
具志頭民族資料館で撮影した、沖縄家屋の模型
私は、最初左の土間が玄関だと思っていました。
ヒンプン、魔除け
一方、沖縄の家には必ず門があり、門の正面にヒンプンという壁が存在しています。門を入ってまっすぐに進むとこの壁にぶつかることになります。(自動車とヒンブンは相性が悪いですね、きっと。)このヒンプン、魔物はまっすぐにしか進めないからと通りの突き当たりの壁等に埋め込んである「石巌當」と同じで、魔除けの壁です。

私は、魔物はまっすぐにしか進めないと聞いた時に、もしかすると「魔物」って台風の事を想定しているのかしらと思ったりしたわけです。屏風(ヒンプン)と書くあたり、また、色々な所に、魔除け兼、目隠し兼、風よけと書いてありますので、台風だけではないのでしょうが、少なくとも台風も魔物に含まれているんだなと思ってしまいました。

沖縄の人は魔除けが好きですよね。家に関わるものだけでも門の両側にシーサー、塀には石巌當、庭に入ったらヒンプンといくつもの魔除けがあります。どの家にも間違いなくあります。その上に、ヤモリ(家守)まで住んでいますから。入居する前何もいなかったはずの我が家でも、ヤモリさんがお風呂場におり家を守っていてくれました。

沖縄の家は、なぜ台風で飛ばされなかったのでしょうか?
もう一つ気になるのが、広い庇と家の作り。石の土台の上に、木を乗せただけで固定されていません。自分の重さだけで台風から家を飛ばされないようにしているのでしょうか?そのため、大きな屋根と重い瓦が重しになっていたのかしら。風が屋根の上を通り過ぎるように建てる地形的な条件だけではなく、この大きな庇のある屋根の形状と関係がありそうな気がしてなりません。
家の中(廊下から一番座と二番座を眺める)
標準的な沖縄の伝統的な家の間取り
一番座(床の間あり)、二番座(仏壇あり)、裏座、かまどに台所、縁側
トイレは記載がありませんが、家畜小屋のあたりだったと
門と内側のヒンブン (展示物のため、庭の植木も裏のフクギもありません)
こんな大きな家でも玄関はありません(沖縄ワールドにて)

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